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恋し愛し

 

 愛しい。
 愛しい。

 君の手を握り、目を閉じる。
 眠りにつく不安はほんの少し。
 心の底にこびりついた不安のかけらがまだしつこく残っている。
 目覚めたときに、君はいるだろうか。
 目が覚めたら、「ここ」だろうか。
 君はここにいていいのだろうか。
 自己不信が胸を刺す。
 苦しいほどに恋しい。
「花」
 そっと囁いて、その肩を抱き寄せる。そして、その少女らしい柔らかな肢体を抱きしめた。
 腕の中に愛しい少女を抱く喜びと不安。それらが混じって、胸に染みていく。
 気持ちよさそうに眠る花から返事はない。
 少しためらってから、その薄く開いた唇に、素早くかすかに触れる。
 想うごとに愛しく、触れるごとに恋しい。
 君を手に入れられるのはいつだろう。
 この心が満ちるのはいつだろう。


 恋しい。
 愛(かな)しい。

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