かくれんぼ(孔花)
恋戦記孔花こばなし まず向かったのは、城の隅の庭だ。花はここでよく休憩をしている。
全く関係なく思いついたから書いていたのですが、奇跡的にコミカライズおめでとうございます!になりました。
かくれんぼ
花の居場所なら見当がつく。というよりも、だいたいの人間の行動が読めるので、花に特化された能力ではないのだが、花は特別だ。
花の考えるところ、行動の癖、そういったものは誰よりも、花自身よりも把握しているつもりだ。把握していると言い切らないのは、時折、彼女は孔明の想像を越えることをするからだ。
だから、書庫に花の姿がなくても、孔明はいつも通り、心当たりの場所に向かった。
孔明はひょいと覗いた。
そこは、予想に反して、ひとっこひとりおらず、閑散としていた。
(外れたか)
当てが外れたが、慌てることもなく、孔明は次に足を向ける。
(ここにもいない、か)
次、次、次、と候補はすぐに思い浮かぶけれど、今日は不発だ。
晏而たちの詰所を盗み見て、中に、花の姿がないことを確認すると、そっと離れた。
書庫に戻っているかもしれないと、ふりだしに戻る。しかし、花はいなかった。
(…………)
どうしたことだろう。
調子が悪い。――というだけだろうか、という疑いも同時に湧く。すると、それは心を蝕むように広がった。
花はどこにいるのだろう。
いつのまにか陽が落ちている。
夕焼け空に驚いて、孔明は足を止めた。
花がいなくなった日、宮城からたちのぼる炎が空を赤く染めていた。
(……花)
孔明の心を蝕む不安が大きく大きく広がっていく。
こんなにも見つからない。それはつまり、見つからないところに行ってしまったのではないか。
――もう手の届かない、遠いところへ。
孔明は胸が苦しくなって、自室に戻った。
「あ、師匠。お帰りなさい。どこに行ってたんですか? 探したんですよ?」
足を踏み入れるなり、かけられた明るい声。
孔明は、はっと顔を上げる。
そこには、花がいた。
「花」
ひどくびっくりして、花を見つめてしまった。
「師匠? どうかしましたか?」
そんな孔明を、花が心配そうに窺ってくる。
近づいてくる花に手を伸ばし、その体を抱きしめて、ここにいることを確かめたい。以前だったら、手を握り込んで我慢していたことだ。今は、それができる。
「わっ、ど、どうしたんですか?」
思いのままに抱き寄せると、花は驚いて聞いてくる。
「僕を探してたの?」
花に探してもらえるのは、なんだか気分がいい。苦しさなど一気に飛んだ。
「はい。ここに来たらいなかったので――」
花は、城内のどこを巡ったかを言う。それは、孔明が辿ったルートと同じだった。どちらが先かはわからないが、追いかけるように動いていたらしい。おかしくて、いっしょだったことが嬉しくて、孔明は笑う。
「師匠? なんで笑うんですか」
「なんでだろうね。当ててみな」
不審そうな花に、孔明ははぐらかして言う。
花を探していて、見つけられなくて不安になって、その姿を見て安心したなど格好悪い。
花は頬を膨らせまながらも考え始めた。
その姿に、孔明は感心する。
「君ってほんと素直だよね」
「え?」
「当ててみなって言ったらすぐ考え始めたでしょ」
「だって、師匠は答えを教えてくれませんし、師匠の考えていること、知りたいですから」
孔明の指摘に、花はわずかになんでそんなことを言うのだという顔をして答え、再び考えに戻った。
「っ……」
不意を突かれて、孔明は赤くなった顔を仰向ける。
それは、孔明のことが好きだと言っているのと同じなのだが、花は気づいていない。
(うーん、口づけたら怒るかな)
煽ったのは花だが、無自覚な以上、誤魔化さないでくださいと怒られる可能性が高い。仕方なく、今は、腕の力を少し強めるだけにした。
(またあとでね)
心の中でそう言って、孔明は笑った。
おわり
書き込み足りないけどあげちゃう
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